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MUTOH 新型UV硬化性水性インクジェットプリンター【HydrAton1642】製品説明会レポ

MUTOH 新型UV硬化性水性インクジェットプリンター【HydrAton1642】製品説明会レポ

先日、武藤工業株式会社本社にて、新型のUV硬化性水性インクジェットプリンター【HydrAton1642】の販売開始に伴う製品説明会へ参加してまいりました。製品の特長などをご紹介いたします。


UV硬化性水性インク【AQUAFUZE™】


富士フイルムグループ独自のインク技術【AQUAFUZE™】とは、水性顔料インクの中に光硬化性樹脂を安定的に分散させる技術です。分かりやすく言うと、水性インクの中にUVで硬化する樹脂が安定的に入っている状態のインクです。

今までのインクにはないタイプではあるものの、HPの第三世代のLatexインクに考え方が似ているようなイメージでしょうか。

メディアの受理層を必要としないインク

前の項でご説明した通り、インクの中にUV光で固まる硬化性樹脂が入っています。その硬化性樹脂がUVランプで硬化することでインクのにじみなどが起きないようになっています。HPの第三世代のインクのLatex硬化樹脂に役割が似ているとお伝えしたのも、その効果が似ているためです。

受理層のあるメディアにも、無いメディアにも使えるインクなので汎用性は高いようです。

低温で乾燥させ硬化させるテクノロジー


水性インクがベースなので、まずは水性インクを乾燥させるためにプラテンの部分で30℃~50℃の熱乾燥を行います。熱乾燥を行いつつ、プリントヘッドの横に搭載されたファンで風による乾燥も一緒に行います。

その後、プリントヘッド前面に取り付けられたUV効果ランプによって最終的にインクを密着・硬化させます。

インクの高い安全性


GHSハザードフリー、SVCフリー、低VOCのインクを実現したインク。大判プリンターの中ではRolandのレジンプリンター【AP-640】と同じランクにあり、一番有害な成分を含んでいないインクであることを証明しています。他のインクが壁紙などで使えないわけではないのですが、より有害なものが少ないインクを選ぶとすれば、現時点で一番有害ではないインクであるといえます。

ヨーロッパなどでは環境問題への注目度が高いので、将来的にはこういった人や環境にやさしいインクというのが主流になってくる日が来るのかもしれません。

低臭気なインクで屋内用途に最適


UV硬化樹脂を使用していますが、硬化前は低臭気。硬化後はほぼ無臭といった特徴を持っています。

臭いが少ないという事は当然、室内や室内でもトイレなどの小さいスペースなどでも臭いを気にすることなく壁紙などに使うことができます。

印刷中もほとんど臭いが出ず、熱乾燥も低温なのでメディアの糊の臭いもほとんどしません。オペレーターの作業環境も考えられているのは重要なポイントです。

高い擦過性を持ち合わせたインク

他社インクに比べ、擦過性・耐洗剤性(中性洗剤)に優れており、傷がつきにくく加工しやすい特徴を持っています。耐洗剤性(中性洗剤)という事ですが、水貼りの石鹸水の影響を受けにくく、施工後のふき取りなどをしやすいインクです。

また、伸縮率が約160%という事で、クロス系に印刷をした際の折りにも強く、ストレッチ性の高いインクともいえます。

AQUAFUZE™は通常のUVインクに比べ膜厚が薄い

インク成分の大半が水分でできているので、印刷後の水分の蒸発により膜厚が薄い状態で硬化します。膜厚が薄い=インクの段差が少ないという事で、ラミネートをかけた際の段差も通常のUVインクに比べ段差が少なく仕上げることができます。

メディア収縮/色むらが少ない

30℃~50℃で乾燥させるため、出力後のメディア収縮や、色むらが少なくプリントができます。大きい壁面など、タイリングで印刷した際の絵柄のズレも起きにくく綺麗に仕上がります。

ベタ色での色むらも少ないそうで、去年のSign Display ShowでのMUTOHブースの壁面に出力施工した際も非常に評判が良かったそうです。

生産性について


壁紙・塩ビ・ターポリンの出力を見せていただきました。水性ベースのインクという事で、乾燥性の問題などがあり、Quality:9.4㎡/High Quality:5.8㎡くらいで印刷するのがベター。大判のスタガヘッドプリンターにしては少し物足りないスピード感ではないでしょうか。

色数・インクセット


C/M/Y/Kの4色仕様。ホワイトは重ね打ちができないので無し。

重ね打ち・濃色プリントができないので、透明メディア・電飾メディアなどのメディアには不向き。フロントリットのメディアに限定されます。

どんなメディアに向いている?

一番相性が良かったのは壁紙メディア。収縮やムラが少なく、臭いが少なく擦過性も非常に高いので、条件的に一番向いています。

一方塩ビやターポリンはインクの濃度が出せない問題があるので、印刷できないことはないのですが、他のプリンターの方が向いているのではないでしょうか。

他に向いているメディアとしては、サンプルこそなかったものの、ポスター用紙やトロマットやトロクロスなどのバナー系メディアの相性が良さそうです。

プロファイル次第では今後他のメディアでの優位性も出てくるかもしれません。

まとめ

いよいよ販売開始となりましたが、現時点で相性が良いメディアが少ないのも現実。ポテンシャルの高いプリンターなので、これから増えていくプロファイル次第では色々な業種に使用できるプリンターなのではないでしょうか?

サンプルなど、今後作成していく予定となっておりますので、今しばらくお待ちください!