理想科学『おもてなシルク展』へ行ってきました!

2023年3月2・3日に東京新橋会場・つくば会場の2拠点で同時で開催された理想科学工業の『おもてなシルク展』へ行ってきました!
今回訪問させていただいたのは、JR新橋駅から地下通路でつながっている『新橋駅前ビル1号館』4階のプリントクリエイティブ事業部。新橋という土地柄、昔ながらの飲食店が軒を連ねる趣あるビル。
早速4階の会場にお邪魔すると迎え入れてくれたのは【おもてなシルク展】の暖簾。もちろんこちらの暖簾はシルクで刷られたもので、ちょっとしたお店を連想させられます。
【おもてなシルク展】
早速中へ入ると、まずは受付。製品カタログ・シルクプリントのサンプル、お土産までいただいてしまいました。タイトル通りのおもてなし感があります。こちらの展示会は、理想科学工業さんの機械を自由に見て回って楽しめるものとなっているそうで、『シルクプリントとは何か?』『どんな機械があるの?』『ターゲットを絞ってこの機械を見てみたい』といった色々なお客様がいらっしゃるそうです。
【一通り機械の説明】
ご挨拶を終えると、まずはシルクプリントの機械を種類別にご説明いただきました。
基本的な構造はすべて同じで、メッシュの貼ってある『紗 しゃ』と呼ばれる特殊フィルムにサーマルヘッドの熱で穴をあけインクを通す版を作る『デジタルスクリーン製版機』であり、フィルムをそのままセットするタイプ・枠にフィルムを張ってから機械にセットするタイプに分かれるそうです。
【単色刷におすすめ】
フィルムをそのままセットするタイプの機種は2種類あり、A4枚葉サイズの『Mi Screen』とタオルなどの長物を刷ることができる『GOCCOPRO 100』があります。どちらも出力した後に枠にはめ刷るタイプなので、作業台一つで簡単にできてしまうコンパクト設計です。
【多色刷におすすめ】
枠にフィルムを張った状態で製版機にセットするタイプの『GOCCOPRO QS200』『GOCCOPRO QS1836』『GOCCOPRO QS2536』。製版できるサイズごとに3種類あり、仕事内容に分けて機種選定をしていただくそうです。色ごとに版を分けるので、フィルムを張った状態で同じ場所に印刷するイメージなので、多色刷をするにはこちらのタイプの方が断然正確で楽です。
【デジタル製版とアナログ製版】
根本的な原理は同じなのですが、アナログ製版は乳剤という薬剤を塗って、露光させて、洗い流して、乾燥させる。といった工程を経て版を作成します。一方デジタル製版は印刷したいデータをプリンタードライバーで出力し、残りかすをふき取る。だけ。
時間が短縮されるだけでなく、データを保存しておくだけで、来るかもわからないリピート案件のために版を枠ごと保存しておく必要もありません。
【単色刷データの作り方】
illustratorでの場合は非常にシンプルで、プリンタードライバー経由でプリントするだけ。
写真データでも同様、Photoshopで写真をくりぬき、同様にプリントするだけ。色の濃淡を自動で調節してくれるので、とにかく簡単。
【多色刷データの作り方】
色をレイヤー分けしてそれぞれプリント。トンボマークをつけておくと後々の位置合わせが楽。若干重ねの部分にオフセットを入れておくのがコツ。
【枠にフィルムを張り機械にセット】
枠にフィルムを電動ドライバーでテンションをかけるようにたるみ無く張ります。あとは機械に乗せるだけ。
【製版】
1~2分であっという間にプリント完了。よりきれいにするために残りかすを特殊薬剤でふき取り版が出来上がりました。
【刷り台にセット】
出来上がった版を刷り台にセットし、印刷位置の微調整をおこないます。多色刷の場合は、1版目と2版目を合わせ試し刷。場所が決まったら本番。
【本番印刷】
Tシャツをセットし、版を合わせ奥から手前にインクをこそぎ取るようなイメージで刷毛で刷る。多色刷りの場合は一旦乾燥し、乾いたら2版目をセットし同じ要領で刷る。そして熱プレスで乾燥させる。
【出来上がり】
手作業が多い分、職人さんの腕次第というところはあるものの、シルクならではのインクの濃さなどはほかのプリントには出せない良さがありました。初めてのシルクプリントでしたが、丁寧な説明をしていただきながらでしたので、非常にわかりやすく簡単に印刷することができました!
【デジタルスクリーン製版でのシルクプリントのメリットデメリット】
DTGなどに比べて、手作業の点は多いものの、枚数をこなす場合コスト面・作業時間が短縮される。インクの濃さがはっきり出るので、より目立ちやすい。版をデータで保存できるので、ストックスペースに悩むことはない。乳剤を使用しないので洗い場などの水洗場所を確保する必要もない。
しかし、あまりに色数が多いと版がその分増えるため手間がかかってしまう。小ロットのプリントの場合、DTGの方が手っ取り早い。
【つくば会場との中継】
つくばの会場と映像をつなぎ、全電動自動スクリーン印刷機『VOLT』のプリントデモ。セルカム大阪本社にもデモ機を置かせていただいているDTFプリンター『mR1』のプリントデモをお見せいただき、それぞれの機械の良さをお伝えいただきました。
【おもてなシルク展の良さ】
会場に行って初めて分かったことですが、ほかのお客様との距離が非常に近いので、交流の場としても良かったと思います。既にシルクプリントを行っている会社様との話の中では、インクの種類によっての刷り方のコツや、どんなものに印刷しているのかなどの生の声を聴けるディスカッションのような雰囲気。
また、今回の取材のようにデータを持ち込まれる方も多く、持ち込んだデータをその場で印刷テストしてみる方などもいらっしゃるようで、柔軟なご対応をいただけるのも『おもてなシルク展』ならでは。
理想科学工業さんは、インスタなどでの発信も積極的に行っているそうで、シルクプリントをこれから始めてみたい方などもど、お気軽にご来社いただければとの事です。
【まとめ】
インクジェットを中心に機械・資材を販売しているせいか、シルクプリントの良さに気付いていない私がいました。実際にTシャツに印刷する工程を一から体験させていただきましたが、非常に簡単で、かつ完成度の高いものができ、シルクの奥の深さを実感する事ができました。
理想科学工業さんの『おもてなシルク展』は定期的に開催されているようで、今回の2日間はほぼすべての枠が予約で埋まっているほどの人気の展示会だそうです。
『おもてなシルク展』、非常に魅力的な展示会でした。是非体験してみてはいかがでしょう?