普段見えない“検証の裏側”をご紹介!〜壁紙に貼って剥がせる塩ビ(仮)〜

今回は、普段なかなか表に出ることのない、セルカムの“裏方”業務の一端をご紹介します。
私たちが取り扱うメディアは、お客様に安心してご使用いただけるよう、社内で徹底した検証を行っています。
プリンターやインクとの相性を確認し、必要であれば最適なセッティングやプロファイルの作成も実施。施工現場で問題が起きる前に、起こりうる現象を先回りして検証し、製品としてご提供しています。
今回の検証対象は、長年ご要望の多かった【壁紙に貼って剥がせる塩ビ(仮)】。
壁紙用の塩ビは、「剥がれてくる」「剥がせない」「壁紙を傷つける」など、多くの課題があり、理想的な商品がなかなか見つかりませんでした。
類似の製品は各社から発売されていますが、実際は本格的に検証を行っているメーカーはあまりなく、いざテストしてみると期待外れの結果になることもしばしばです。
その理由は、貼る対象が“壁紙”であること。塩ビ壁紙やフリース壁紙など素材の種類も多く、表面の凹凸もさまざまで、剥がれにくい要因が多数あります。特に、原状回復が求められる賃貸物件などでは、より慎重な検証が求められます。
今回は以下の観点から検証を行いました:
【相性のいいインク】【相性の悪いインク】
CMYK100%のリッチブラックで印刷し、それぞれの推奨乾燥時間経過後にラミネートを貼りこみ。比較的平滑な壁紙に施工したところ、24時間後には溶剤・UVインク使用のメディアは浮いてしまいました。Latexインクで印刷したメディアは、変化なく安定。1ヶ月後の確認でも、Latexは優秀な結果、他は剥がれて床に落ちていました。【剥がれない】【剥がせる】
「剥がれない」という観点では、Latex印刷メディアのみが対象になります。貼付から1ヶ月後でも、糊残りなく問題なく剥がせました。一方、溶剤印刷のメディアは翌日には端から剥がれ、1週間後にはストレスなく全体が剥がれました。「剥がせる」だけなら、どのインクでも対応可能な結果でした。【相性のいい壁紙】【相性の悪い壁紙】
フラットな壁紙やエンボスがある壁紙では密着性が良好で、問題なく施工可能でした。対して凹凸の激しい壁紙では、貼りたては問題なくとも、1日経つと凹部分が浮き始めました。リベットブラシなどで圧着しても、翌日には同様の結果となりました。
◆まとめ
今回の検証でわかったのは、「壁紙に貼って剥がせる」という表現は慎重に使う必要があるということ。使用するインク、壁紙の素材、表面状態によって結果が大きく変わります。
とはいえ、壁紙以外の素材に貼る場合には、非常に高い再剥離性を持つ塩ビメディアとして活用いただけます。撤去時の手間を考慮すると、扱いやすい素材といえるでしょう。
今後も、社内ではさまざまなメディアの検証を続けていきます。詳細や導入をご検討の方は、ぜひ弊社営業までお気軽にご相談ください!